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機械学習力場によるCOFのプロトン伝導メカニズムの解明

当社の南沙央理らが株式会社デンソーと共同で行った研究が Chemistry of Materials に掲載されました。

カーボンニュートラルの実現に向けて、水素イオン(プロトン)と酸素を反応させて電力を得る、燃料電池に注目が集まっています。現在広く使われている燃料電池向け電解質材料は、100℃以上の環境では水が蒸発してプロトン伝導率が著しく低下してしまうため、大型の冷却装置が必要となり、システム全体が大型化してしまう原因となっていました。そのため、100℃以上の低湿環境でも機能し、冷却装置を簡素化できる可能性を持つ電解質材料として近年注目されているのが共有結合性有機構造体(COF)です。COFは屈曲のない規則的な細孔構造をプロトン輸送経路とし、高いプロトン伝導性を実現する次世代電解質材料として期待されています。しかし、これまで実験的に報告されているCOFのプロトン伝導性には大きなばらつきがあり、プロトン伝導性を支配する要因の解明は困難でした。

本研究では、機械学習力場を利用し、第一原理計算の精度を維持したまま数ナノ秒スケールの分子動力学計算を実施することで、COFのプロトン伝導メカニズムを解明しました。その結果、COFの骨格に結合したアニオン周辺の局所的な水分子の数が、プロトン伝導度と強い相関を持つことを明らかにしました。電解質材料としてのCOFの性質の一端を解明した本成果は、高性能な電解質材料の設計につながり、燃料電池のさらなる普及に貢献することが期待されます。

タイトル: Impact of Local Water Uptake on Proton Conduction in Covalent Organic Framework Revealed by Machine-learning Potentials
著者: Minami, S., Kin, M., Takahashi, K., Sato, T., Jinnouchi, R.
掲載誌: Chemistry of Materials
掲載日: 2024年10月1日
https://doi.org/10.1021/acs.chemmater.4c01351

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