アンモニアのみを燃料とするエンジンシステム
当社の宮川浩らが豊田自動織機と共同で行った研究が International Journal of Hydrogen Energy に掲載されました。
地球温暖化の防止やエネルギーセキュリティ担保のための方策の一つとして、燃焼時に二酸化炭素を排出しないアンモニア(NH3)を燃料として利用する技術が注目されています。 中でも、NH3を内燃機関で燃焼させて動力源とするための研究は世界中で進行中です。しかし、 NH3は難燃性であるため始動時に補助燃料を必要とすることや、燃え残ったNH3や窒素酸化物を環境中に排出してしまうことが課題となっています。
本研究では、オートサーマル方式のオンボード改質器を用いてNH3から水素(H2)を生成させることにより、水素タンクを不要とした単一燃料システムを提案しました。この改質器は外部からの熱供給が不要なため、補助燃料となる水素を冷間から短時間で生成でき、エンジンの安定な始動を可能とします。また、排気浄化触媒として三元触媒とSCR触媒を組み合わせ、触媒の状態に応じて空燃比を精緻に制御することにより、冷間始動時においてもNH3や窒素酸化物の環境中への排出を抑制できることを世界で初めて実証しました。 NH3を燃料とすることにより、内燃機関における環境負荷ゼロの実現に向けた一層の技術開発が期待されます。
タイトル: Reduction of Cold-start Emissions from an Ammonia Mono-fueled Spark Ignition Engine
著者: Miyagawa, H., Suzuoki, T., Nakatani, N., Homma, T., Takeuchi, Y.
掲載誌: International Journal of Hydrogen Energy
掲載日: 2024年10月18日(オンライン)
https://doi.org/10.1016/j.ijhydene.2024.10.062