あらゆる走行条件に対応したロバスト車両状態推定手法
当社の森大輝らが行った研究が、IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systemsに掲載されました。
昨今、自動運転や先進安全機能は急激な技術革新が進んでいますが、これらのシステムは比較的良好な走行環境や車両運動条件を想定して開発されることが主流となっています。今後、さらにシステムの活用範囲を広げるには、あらゆる走行条件において高い精度で車の位置・速度・姿勢を推定することが求められます。
本研究では、低速から車両運動の限界を超えるような大スリップ角走行までをカバーし、さらにアスファルトや雪道といったあらゆる環境に対応した、ロバスト車両状態推定手法を構築しました。メインのセンサとして慣性計測装置(Inertial Measurement Unit ; IMU)を用い、航空機や宇宙機で採用されているStrap-down Navigation方式を車両運動の推定に適用しました。また、非同期式の車載センサから得られる情報についても、センサの遅延推定を行いながら活用しました。その結果、市街地などの良好な走行条件はもちろん、雪道においてスリップ角が40 degに達するような大きなスリップをした場合でも、位置・速度・姿勢の推定誤差をそれぞれ0.1 m, 0.1 m/s, 0.1 deg 以下に収めることができました。本技術は、より広範な条件に対応した自動運転や先進安全機能の実現に貢献します。
タイトル: Robust Vehicle State Estimation from Urban Driving to the Limits of Handling
著者: Mori, D., Kamekawa, M., Fujieda, N., Mizuno, Y.
掲載誌: IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systems
掲載日: 2024年11月15日(オンライン)
https://doi.org/10.1109/TITS.2024.3487117