DCマイクログリッドの高速同期計測技術
当社の深野達雄と菅井賢が行った研究がIEEE Transactions on Industrial Informaticsに掲載されました。
再生可能エネルギーの普及や電力の地産地消の流れを受けて、小規模な電力ネットワークで、太陽光発電や蓄電池などを効率的に運用するための技術であるDC(直流)マイクログリッドが注目されています。DCマイクログリッドの状態を継続的に監視および制御するには、地絡や短絡などの高速イベントと需要変動の両方を検出して特定する必要があります。しかし、DCマイクログリッドでは電力の流れが非常に速く変化するため、従来の計測技術では、その変化を広い範囲で高速に同期性を確保しながら正確に捉えることが困難でした。
本研究では、産業用イーサネットベースの測定システムを用いて、実際のDCマイクログリッドにおけるサブミリ秒から秒単位の変化を測定する手法を提案しました。この技術により、複数の計測装置が時間的にずれなく同期的に動作し、電力の変化をリアルタイムで把握することが可能になります。提案したシステムは、マイクログリッドの安定運用や故障検知の精度向上に貢献し、将来的には災害時の電力供給や持続可能なエネルギー社会の実現に寄与することが期待されます。
タイトル: Submillisecond Measurement with High Synchronism of Changes in Practical DC Microgrids
著者: Fukano, T., Sugai, M.
掲載誌: IEEE Transactions on Industrial Informatics
掲載日: 2025年2月19日
https://doi.org/10.1109/TII.2025.3538109