遠隔運転のための高信頼無線通信評価システム
当社の佐々木健吾らがトヨタ自動車と共同で行った研究が IEEE Intelligent Vehicles Symposium (IV 2025) に採択され、発表を行いました。
Beyond 5Gや6Gといった次世代移動体通信網では、遠隔運転などのミッションクリティカルなサービスの実現が期待されています。遠隔運転では、車両から送信された映像をもとに、遠隔地の操作者が車両を操作する必要があります。そのため、通信の安定性と低遅延が不可欠であり、複数のモバイルネットワークを併用することで通信の高信頼化を図る取り組みが進められています。しかし、高信頼通信技術を含めたサービス全体を評価できるシミュレーション環境は存在しませんでした。
本研究では、こうした課題を解決するために、マイクロサービスアーキテクチャ*1を活用したスケーラブルなリアルタイム遠隔運転シミュレータを構築しました。複数のモバイルネットワーク環境はコンテナと呼ばれる仮想的な実行環境で個別にシミュレートされるため,互いに動作を妨げることなく拡張が可能です。また、軽量なメッセージングプロトコルであるMQTT*2を用いることで、各コンテナに対して非同期に情報共有を実現します。この技術により、遠隔運転の安全性や信頼性を事前に評価でき、将来的な自動運転社会の実現に大きく貢献します。
*1 1つのアプリケーションを機能が独立した小さなサービスから構成するソフトウェアアーキテクチャ
*2 データ配信プロトコルの一種で、データの送信者と受信者が非同期に情報を共有できる
タイトル: Real-time Simulator Exploiting Micro-Service Architecture for Mission-Critical Service with Multiple Mobile Networks
著者: Sasaki, K., Takanashi, M., Kaneko, N., Onishi, R., Sanda, K.
発表の場: IEEE Intelligent Vehicles Symposium (IV)
発表日: 2025年6月25日
https://doi.org/10.1109/IV64158.2025.11097549