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鉄系酸素発生触媒β-FeOOH(Cl)が熱処理で性能が向上するメカニズムを解明

当社の宇山健らが九州工業大学と共同で行った研究成果が、Chemistry of Materialsに掲載されました。

酸素発生反応(OER)は、水電解水素製造や金属空気電池などに使われる重要な電気化学プロセスです。OERを担う触媒としては、資源量が豊富な鉄系材料が理想ですが、鉄系触媒の多くはアルカリ溶液中でしか働かず、利用範囲が限られていました。そこで当グループは、特異な鉄系触媒「β-FeOOH(Cl)」を開発しました。この触媒は、約200℃で熱処理することで中性条件下でも優れた性能を示しますが、その理由はこれまで十分に解明されていませんでした。

本研究では、この理由を解明するために、放射光X線回折測定を始めとした各種分析を行いました。その結果、熱処理によってβ-FeOOH(Cl)は一度「塩素を多く含む中間状態」になることを発見しました。この状態はOER反応中でも安定であること、更に、理論計算により、電子やイオンの動きがスムーズになることで性能が向上することを確認しました。

本成果は、幅広い条件で使えるサステナブルな鉄系触媒の開発に貢献すると期待されます。
本研究はNEDOの「未踏チャレンジ2050」の支援を受けて実施されました。

タイトル: Role of Chloride Ions in the Heat Treatment of β-FeOOH(Cl) Catalysts to Enhance the Oxygen Evolution Reaction Activity
著者: Uyama, T., Noda, Y., Suzuki, M., T., Sekizawa, K., Sakamoto, N., Nonaka, T., Morikawa, T.
掲載誌: Chemistry of Materials
掲載日: 2025年4月21日
https://doi.org/10.1021/acs.chemmater.5c00128

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