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受賞

当社シニアフェローの森川健志が
令和2年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞

 このたび、当社の森川健志は、「二酸化炭素と水から有機物を合成する人工光合成の実証研究」において、令和2年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞しました。
 この賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって⽇本の科学技術⽔準の向上に寄与することを⽬的とし、⽂部科学省が表彰しています。

1.受賞技術概要 「二酸化炭素と水から有機物を合成する人工光合成の実証研究」

 地球温暖化抑制のため、CO2排出量の削減、固定化が強く求められています。その一方で、化石燃料を使わずに有機物を生成することは極めて困難です。この課題に対し、植物の光合成システムを模倣する研究はこれまでも盛んに行われてきました。しかしながら、大気中のCO2と水を原料に、太陽光のみをエネルギー源としてCO2を還元する「完全な」人工光合成の達成は困難と考えられていました。
 本研究では、水を分解する半導体触媒と、CO2を還元する金属錯体分子触媒を複合化した新しい概念の光触媒を提案しこれを実現しました。その結果、従来の触媒では不可能であった一枚の板状構造素子への実装、水中での低電位、高効率のCO2還元反応を可能にしました。
 本研究により、CO2を含んだ常温・常圧の水中で、太陽光のみをエネルギー源とする有機物(ギ酸)の連続合成が実証されました。またさらに、この完全な人工光合成において、植物を凌駕する太陽光変換効率を達成しました。
 本成果は、今後工業用合成ガスやアルコールなど、より付加価値の高い有機物への高効率変換に発展させることで、CO2を資源とする持続可能社会実現に寄与することが期待されます。

図1

一枚の板状人工光合成デバイス「人工の葉」

●最も代表的な特許及び論文

特許:特許第5493572号「光触媒体及びそれを用いた還元用触媒体」
論文:Arai, T., Sato, S. and Morikawa, T., Energy & Environmental Science, Vol. 8, No. 7 (2015),
    pp. 1998-2002.  https://doi.org/10.1039/C5EE01314C

技術内容については、はこちらもご覧ください。
豊田中央研究所 森川特別研究室
https://www.tytlabs.co.jp/sflabmorikawa/theme.html

2.受賞者

森川健志の写真

森川 健志(もりかわ たけし)
株式会社豊田中央研究所 シニアフェロー
森川特別研究室 室長

森川健志 プロフィール
https://www.tytlabs.co.jp/sflabmorikawa/profile.html

森川健志の写真

受賞のコメント

研究として失敗するリスクは高いが成功した時の波及効果が大きなテーマとして人工光合成を選びました。当時の役員にも勇気づけられ、まずは3年間と決めての挑戦でした。難しいテーマでしたが、当時まだ世の中にはなかった発想を持ち込み、そこからチームのメンバ皆が能力を発揮し、アイデアを出しあって愚直に取り組んできました。また基本特許の取得後は、社外の人脈と外部資金も活用させていただくことができました。これら全てが相乗した結果、世界に認知される研究成果として結実しました。しかしまだ完成品ではありません。今後も引き続き挑戦していきたいです。

令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00187.html

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